「逢いたくば」イントロダクション

「逢いたくば」イントロダクション

INTRODUCTION

「逢いたくば」は、
写真家・八木仁志の「ブラジル日系人の方々の姿を写真に残したい」
という思いから始まりました。

ブラジル日系人の方々のルーツを辿ってゆくと、
始まりは1908年に神戸港を出発した初のブラジル移民船・笠戸丸へと遡ります。
この初の移民船に乗船していた人々の中でただ一人、
撮影時もご生存されていたのが、中川トミさんでした。

八木は、トミさんの姿をブラジル日系人の方々の姿の頂点とし、
日系人の方々の「今」を写す、という作品像を思い浮かべました。

そして、思いが伝わったのか、
トミさんだけでなくたくさんの方々に撮影の許可をいただき、
広大なブラジルを「撮りたい」という一心で必死に回り続け、
たくさんの写真を携え帰国しました。

そんな旅の途中、
ホテルからふと窓の外を眺めていた八木の目の前の大空に、
大きな大きな虹の橋が架かり、
その美しさに、八木はただ夢中でシャッターを切ったそうです。

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そして旅の終わり頃、
大崎千代枝さんという歌人の方の写真を撮影した八木は、
千代枝さんにある俳句を贈られました。
そこには、

「逢いたくば 渡りてこいよ 虹の橋」

という言葉が刻まれていたのです。

逢いたくば書.jpg大崎千代枝さん 直筆

「逢いたくば」には、たくさんの思いが込められています。

日本を離れて遠いブラジルへ渡り、
過酷な地で必死に生きてきた日系人の方々は、
つらい日々も微塵も感じさせず、明るい笑顔で人生を謳歌しています。
そして、ふるさと・日本が大好きで、文化や歴史をとても大切に生きているのだそうです。

八木はこの旅を通し、何千点にも渡る写真を編集してゆく中で、
全ての日系人の方々の姿に見えてくる古き良き日本の姿を感じていました。
そして、
今の人々が忘れかけている本当に大切な「こころ」を、
もう一度見つめ直してゆけたらという想いをいだきました。

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こうして「逢いたくばプロジェクト」は生まれました。

八木の写真展をはじめとして、
様々な日本の文化を伝えてゆけるアーティストの方々が集まり、
「本当に大切なこころ」を伝えてゆきたいと活動が始まりました。

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プロジェクトが動き始めた10月、トミさんが亡くなられました。
八木が最後に写真を撮影し、「逢いたくば」の誕生を待っていたのかと思うような時期でした。

八木は、
「トミさんに全ての写真を見ていただけないことが本当に残念だ」
と言います。

きっと、トミさんは必ずどこかで見てくれています。

トミさんの最後の肖像となった写真の瞳にある、
この世界のすべてを潤すような涙の雫がたくさんの人のこころを洗い清め、
「本当のなにか」を見つけるヒントをくれるのではないでしょうか。

そして「逢いたくば」は、
トミさんのこころからの想いを乗せて、更に成長してゆくのではないでしょうか。

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みなさまの「こころ」に、
何か新しい発見と、忘れていた想いを蘇らせることができるよう、
私たちはプロジェクトに取り組んでゆきたいと思っています。

どうぞ、何かを感じていただけたら嬉しく思います。

そしてこのプロジェクトが、今後の100年へと・・・
地球・宇宙のこれからへと、想いを馳せる「きっかけ」となることを、
心から願っております。

重ねて、「逢いたくば」プロジェクトウェブサイトへのご訪問を、
心より感謝申し上げます。


「逢いたくば」プロジェクト


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