大伴忍氏 インタビュー

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大伴 忍氏 インタビュー

SHINOBU OHTOMO INTERVIEW


「お酒の神様に言われて混ぜている」
と語り、カクテルの枠を超えた作品を次々と生み出す大伴忍氏。
ユーモアを交えた読み応えあるインタビューになりました。必見!

■「逢いたくば」プロジェクトへ参加しようと思ったきっかけは?

きっかけは「大伴バー」のオリジナル・カクテル『ニートニック』を作る為の
ファンデーションと呼んでいる原液を通販でご購入頂き、
それを気に入って頂けたようでご来店もして下さいました。
その時にこのプロジェクトのお話を伺ったのがきっかけです。

地球の裏側へ開拓精神を胸に海を渡った同胞が多数存在している。
そのスピリッツの美しさが写真を通じて伝わってくる。
この素晴らしいプロジェクトに自分も参加出来るなら、それは本当に嬉しい事だと思いました。


■「逢いたくば」カクテルを制作するにあたり、重要だった部分はありますか?

02.jpg代表者の八木氏にカクテル制作の依頼を受け、
そのイメージを伺った時に瞬時に材料と色合い、
デコレーションまでもが頭に浮かびました。
驚いたのは、八木氏ご本人が思い浮かべる
材料やイメージをお伺いすると、
私が思ったそれと同じ事を考えていらっしゃった。
全然考えずに出来た訳です。
私は長年カクテル・コンペティションの選手として
競技に参加して来ましたが、
オリジナル・カクテルを制作するに当たり
それはやはり相当な思い悩みがあり、
苦悩と苦難の積み重なりを随分と経験しましたが、
考えに考えに考えて考え抜いた末に割り出した答があります。
それは、

『考えるな』

と言う事です。
この作品は考えませんでした。
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■このカクテルをどのように楽しんでほしいですか?

このピンガ『カシャーサ51』が、
バカルディ・ラムやスミノフ・ウォッカを抜いて
世界で最も販売量があるスピリッツなのだと聞いて驚きでした。
ほぼ自国消費なので、
ブラジルの人々は皆が皆飲みまくっていると言うのが現実です。

『カクテル・逢いたくば』はそこへ日本の和の心、吟醸酒と桜の花を加え、
抹茶のリキュールで仄かな薄緑色に染めて仕上げています。

日本の人には、祖国を離れ海を渡った同胞達が、
今私達が失いかけている美しい心と笑顔を忘れずに地球の裏側で生きている事に、
『カクテル・逢いたくば』を口にして想いを寄せて貰いたい。

ブラジルの人には、生涯一度も実際に見る事が出来ないかも知れない
祖国日本の美をこのカクテルから見抜いてほしい。


■このカクテルがどのように今後の100年に影響していってほしいと思いますか?

国連常任理事国入りを目指す両国が今後益々近い関係になり、
良い意味で競争し合いながら良きパートナーシップを結べるよう願っています。
私が生まれて初めてカウンターに立ったバーの名も何故か『サンパウロ』でしたから、
そのサンパウロを始め、ブラジルと日本のあらゆる所でこの美しいカクテルが作られてほしい。

やはりバーテンダーとしての夢は、一つのMixed Drinkが
両国友好のきっかけになれればと願います。


■今後、挑戦してゆきたいことは何ですか?

心を磨かれたバーテンダーになりたいです。
ビギナーの内はカクテルのテイスト、特にオリジナル・カクテルの事に夢中になりがちですが、
その先にあるのは間違いなく心の世界です。

精神と肉体を調和させ、
簡単な動作にも精神を集中して行い、
敬いの心を簡素な中に持てる。

そんなチョーかっこいいバーテンダーに挑戦してゆきたいです。


■大伴バーはどのようなお店ですか?

ビールなし、ワインなし、色気なし。
育ちの良いカクテル、選ばれた洋酒達、気の利いたツマミを楽しむ、正統派の酒場なり。

まあ普通のバーです。


■バーテンダーという仕事を通じて伝えてゆきたいことは?

日伯交流100周年の今年ですが、
近代日本の歴史自体は大政奉還からたった140年しか経っていません。
要は、洋酒文化と言うのはいいとこ100年位。
笠戸丸が神戸港を出港した頃からのお話で、
5〜600年前から舞踏会をやっていたヨーロッパの社交先進国からすれば駆け出し同然です。
お酒は酔える事が大きな魅力で、
酔えないなら何が面白くて飲酒するのか?と言うのが全く正しいのですが、
アジアの先進国のモデルとして、外でお酒を飲む事を格好良く出来る人が
増えて行くきっかけになる事を伝られたら、僭越ながらこんな喜びはありません。


■「生きること」について、「逢いたくば」を含め、
 バーテンダーのお仕事や人生の様々な面から、大伴さんの想いをお聞かせください。

この質問は難しいですね。
うまく浮かばないので自作の小説のエピローグの一節から転載して、



人生は長い長いトンネルを、
微かに見える出口を目指して走り続けるようなもの。
 
しかし、やがて近づいてきた出口の明かりは、
次のトンネルの入口でしかなかった。

俺が辿り着いた明かりも又、
次のトンネルの入口へ繋がっているだけだった。

そして又しても遠くに見える出口を見つけてしまったのさ。
 
それらから俺は一体何を学んだのだろう。

『信念がすべてさ』



以上です。


■バーテンダーになったきっかけは・・・?

17歳の時にバイクの転倒事故を起こして2か月間入院し、
左足の後遺症の為ブラブラしていたら、
バーテンダーの募集店があると言われるが気が進まず、
タロットカードの占いで見て貰ったら天職だと言われたのでシブシブ始めました。


■一番好きなお酒は何ですか?

カクテルとウイスキーが自分の取扱い商品の第一群なので思い入れはありますが、
日本で一番美味しいのは日本酒だと思います。


■カクテルを作る上でのこだわりは?

「手を抜かず真心を込めて仕上げる
 至極当たり前の積み重ね
 大伴バーには
 カクテルへの拘りなど
 ありません」


■自慢できる事はありますか?

美少女戦士セーラームーンの月野うさぎさんと誕生日が同じ(6/30)。
また、12歳の誕生日に長年親しまれて来た上野動物園のお猿の電車が廃線。


■好きな動物を3番目まで決めてそれぞれその理由を言って下さい
(さあ、皆さん一緒にやりましょう)


大伴「三つ決めるんですか、ややこしいなあ・・・」

では・・・

1/虎
座右の銘『虎視牛歩』(コシギュウホ:虎の眼差しで牛のように歩く)の虎だから。

2/鷹
強さの象徴でありながら鷲に比べてスマートな美しさがある。

3/(大形の)犬
人類と古くからの付き合いで頼もしさと癒しがあり、連れ添う友として最も相応しいから。

さて、出来ましたか?では言いますよ。

1番目の動物とその理由は
『こうなりたい自分』です。
2番目の動物とその理由は
『人から見た自分』です。
3番目の動物とその理由は
『本当の自分』です。

どうですか?当たっているでしょう!






2008 「逢いたくば」プロジェクト